十五夜のお月見：美しい月夜に込められた意味と、心温まる習慣を再発見
秋の澄んだ空に浮かぶ、一年で最も美しいとされる満月「中秋の名月」。
すすきを飾り、お団子を供えて月を眺める「お月見」は、私たち日本人にとって古くから親しまれてきた風情ある習慣です。
しかし、なぜこの日に月を愛でるのでしょうか？そして、お供え物にはどんな意味が込められているのでしょうか？
この記事では、十五夜のお月見に隠された深い意味と、その風習について、歴史や文化的な背景を交えながらわかりやすく解説します。
十五夜とは？ 中秋の名月を愛でる理由
十五夜とは、旧暦の8月15日の夜のこと。この日は、太陽暦でいうと9月中旬から10月上旬にあたります。
この時期の月は、空気が澄んでいるため特に美しく、また収穫の時期と重なることから、古くから月への信仰や感謝の気持ちが結びついてきました。
お月見のルーツは、中国の**「中秋節」**にあります。唐の時代に月を観賞する宴が催され、それが平安時代に日本に伝わりました。
貴族たちは、池に映る月や酒杯に映る月を眺めながら歌を詠むなどして、風流な時間を楽しんでいました。
やがて、その風習は庶民にも広まり、美しい月を眺めるだけでなく、農作物の収穫に感謝する行事としての意味合いが強くなっていきました。
お月見に欠かせない、お供え物の意味
お月見の風習を彩るお供え物には、それぞれ深い意味が込められています。
1. ススキ
田んぼの稲穂に見立てて飾られます。豊作の願いや、神様を迎え入れる依代（よりしろ）としての役割があるとされています。また、ススキの鋭い切り口が魔除けになるとも言われています。
2. 月見団子
月に見立てた丸い団子は、健康や幸福を願うシンボルです。一年の豊作に感謝し、来年の豊作を願う気持ちが込められています。正式には15個供えるのが良いとされていますが、数を気にせず、家族の人数分など自由に用意しても構いません。
3. 芋や野菜
十五夜は「芋名月（いもめいげつ）」とも呼ばれ、里芋などの収穫物を供える習慣があります。これは、月への感謝とともに、その年の豊かな実りに喜びを分かち合う意味があります。その他、ぶどうや柿など、その時期に旬を迎える果物も供えられます。
お月見をさらに楽しむための豆知識
実は満月じゃないことも？
十五夜は「満月」と思われがちですが、天文学的には必ずしも満月とは限りません。月の満ち欠けの周期と旧暦の日付がずれるため、満月になるのは十五夜から数日後になることがよくあります。
十三夜、十日夜も大切
十五夜の後に訪れる、旧暦の9月13日の夜は**「十三夜」と呼ばれ、「栗名月（くりめいげつ）」や「豆名月（まめめいげつ）」とも呼ばれます。十五夜と十三夜の両方の月を愛でることで、縁起が良いとされてきました。
また、旧暦の10月10日の「十日夜（とおかんや）」**も、収穫に感謝する重要な行事です。
現代のお月見：自分らしい楽しみ方
昔ながらの風習を守るだけでなく、現代の暮らしに合わせたお月見の楽しみ方も増えています。
ベランダや庭で月見茶会：温かいお茶とお菓子を用意して、家族や友人と静かに月を眺める。
お月見をテーマにした料理：「月見うどん」や「月見バーガー」など、卵を月に見立てた料理を楽しむ。
カメラで月の撮影に挑戦：スマートフォンのカメラ機能も進化しているので、美しい月を写真に収めるのも素敵な思い出になります。
まとめ：心を豊かにする日本の伝統行事
十五夜のお月見は、単に月を眺めるだけの行事ではありません。
それは、自然の恵みに感謝し、遠い過去から受け継がれてきた人々の想いを感じ取る、心を豊かにする時間です。
忙しい日々の中で、少し立ち止まって夜空を見上げ、お月見の風習に込められた意味を思い出すことで、心に穏やかな癒しをもたらしてくれるでしょう。