狛犬(こまいぬ)の謎を徹底解説!起源から左右の違いまで知れば神社巡りがもっと楽しくなる
神社の鳥居をくぐると、その入り口であなたを静かに見つめている二つの像。それが**狛犬(こまいぬ)**です。
なんとなく「神社の守り神」だとは知っていても、なぜ二体いるのか、なぜ怖い顔をしているのか、そしてそもそもなぜ「犬」と名が付いているのか、不思議に思ったことはありませんか?
実は、狛犬には知られざる深い歴史と、日本人の哲学が隠されています。今回は、この狛犬の謎を徹底的に解き明かし、これまでの神社巡りとは一味違う、新しい発見の旅に出かけましょう!
第1章:狛犬の起源は「犬」ではなかった?驚きのルーツ
狛犬は、その名前から犬だと思われがちですが、実はそのルーツは犬ではありません。
その起源は、古代インドの**獅子(ライオン)**の像だと言われています。百獣の王である獅子は、その強さから仏教において仏法の守護獣とされ、仏像とともにシルクロードを伝わって中国へ、そして朝鮮半島を経由して日本へ伝わりました。
平安時代になると、それらの像は日本の宮中や寺院で魔除けとして用いられるようになります。しかし、その姿は異国風で、「高麗(こま)」という当時の朝鮮を指す言葉から、「高麗犬(こまいぬ)」と呼ばれるようになったのです。やがて、その姿は日本の文化に溶け込み、独自の守護獣として定着していきました。
第2章:【阿形と吽形】狛犬の左右の違いと「阿吽」の深い意味
神社をよく観察すると、狛犬は左右で口の形が違うことに気づきます。これには、非常に深い意味が込められています。
右側の狛犬:口を開けた「阿形(あぎょう)」
「阿」は、梵字の最初の音で、宇宙の始まりや物事の始まりを意味します。口を大きく開け、堂々とした姿で、魔を威嚇し、邪気を祓う役割を担っています。
左側の狛犬:口を閉じた「吽形(うんぎょう)」
「吽」は、梵字の最後の音で、宇宙の終わりや物事の終わりを意味します。口を固く閉じた姿は、内なる力を蓄え、神聖な空間を守る象徴です。
この二体が一対となることで、「阿吽(あうん)」となり、万物の始まりから終わりまですべてを包含する、宇宙の真理を表しているのです。日本語の「阿吽の呼吸」という言葉は、ここからきています。
第3章:狛犬は単なる飾りではない、その役割と多様性
狛犬は、単なる飾りではなく、神社の神聖な領域を悪霊や邪気から守る神社の守り神という重要な役割を担っています。
また、狛犬と一口に言っても、その種類やデザインは地域や時代によって驚くほど多様です。中には、親子の姿をした子取り狛犬や、宝珠を抱えた玉取り狛犬、さらには珍しい動物をモチーフにしたものも存在します。
狛犬以外にも、神社にはその神社の祭神にゆかりのある動物が「神使(しんし)」として祀られていることがあります。例えば、稲荷神社では狐、北野天満宮では牛が神使とされています。こうした多様な守り神に注目してみるのも面白いですね。
まとめ:狛犬を「知る」ことで、お参りはもっと楽しくなる
狛犬は、遠い異国の地から海を渡り、日本の文化に溶け込み、独自の進化を遂げてきました。
次から神社を訪れる際には、ぜひ狛犬に注目してみてください。口の形や表情、その姿が左右でどう違うのかをじっくり観察してみることで、これまで気づかなかった狛犬の奥深い魅力に触れることができます。狛犬を知ることで、あなたのお参りはきっと、もっと特別な時間になるはずです。