知ると相撲観戦がもっと楽しくなる!土俵にまつわる神聖な儀式と豆知識
大相撲を観戦していると、力士が塩を撒いたり、行司が何やら祝詞(のりと)を唱えたり、不思議な光景を目にしますよね。これらは単なるパフォーマンスではなく、相撲の神聖な側面を象徴する大切な儀式です。今回は、知れば相撲観戦がもっと楽しくなる、相撲の土俵にまつわる様々な神事について、分かりやすく解説します。
土俵の地下に埋められる「鎮め物(しずめもの)」
本場所が始まる前、土俵が完成した直後に行われるのが「土俵祭り」です。この土俵祭りで最も重要な儀式の一つが、土俵の真ん中に穴を掘り、「鎮め物」を埋めることです。
この鎮め物には、米、塩、スルメ、昆布、栗、勝栗、そして洗米、かやの実などが使われます。これらは五穀豊穣を願うとともに、土俵を清め、土俵の上で怪我がないように、そして公平な勝負が行われるようにと、神様にお供えする意味があります。
この儀式を通じて、土俵は単なる格闘の場ではなく、神様が宿る神聖な場所となるのです。
なぜ力士は塩を撒くの?
相撲をあまり知らない方でも、力士が土俵に上がるたびに大量の塩を撒く姿はご存知ではないでしょうか。この「清めの塩」も、土俵を清める大切な儀式です。
邪気を払う:神聖な土俵の上で邪気を払い、身を清める意味があります。
怪我をしないように:塩には消毒作用があることから、怪我の際の応急処置としても使われていたという説もあります。
力士が塩を撒く姿は、神聖な土俵での真剣勝負に臨む、決意の表れでもあるのです。
土俵上の屋根に隠された意味
土俵の上に吊るされている大きな屋根(吊り屋根)と、そこから下がっている4つの大きな房(四房)にも、相撲の神事としての意味が込められています。
この屋根は、神様が宿る「神明造り」の屋根を模しており、土俵が神聖な場所であることを示しています。そして、四房はそれぞれ以下を象徴しています。
青房:東方を守る青龍(せいりゅう)
赤房:南方を守る朱雀(すざく)
白房:西方を守る白虎(びゃっこ)
黒房:北方を守る玄武(げんぶ)
これらは、四季と方位を象徴しており、土俵の安全を願うと同時に、自然への感謝の念を表しています。
千秋楽の特別な儀式
本場所の最終日、千秋楽には「神送りの儀式」が行われます。これは、土俵に宿っていた神様を天にお返しする神事です。
行司が祝詞をあげた後、土俵の正面にある吊り屋根の神窓を開け、土俵を清めます。これにより、神様は天に戻り、次の場所に向けて土俵がリセットされます。
これらの故実を知ることで、相撲が単なるスポーツではなく、五穀豊穣を願う神事から始まった日本の大切な文化であることがわかります。
相撲の歴史や豆知識を知れば、力士の所作や土俵上の様々な要素が、より深く心に響くはずです。次回の相撲観戦の際には、ぜひこれらの儀式に注目してみてください。