意外と知らない!除夜の鐘はなぜ108回?深い意味と由来を徹底解説
大晦日の夜、どこからともなく聞こえてくる、厳かで心地よい鐘の音。この鐘の音を聞くと、「ああ、今年も終わりか…」と、しんみりした気持ちになりますよね。
この除夜の鐘は、日本の年末の風物詩ですが、**「なぜ108回も鳴らすんだろう?」**と疑問に思ったことはありませんか?
この記事では、除夜の鐘が108回である理由やその由来、そして知られざる豆知識まで、分かりやすく解説していきます。これを知れば、次の大晦日は鐘の音をさらに感慨深く感じられるはずです。
除夜の鐘が108回である理由、その答えは「煩悩」
除夜の鐘が108回鳴らされる最も有名な理由は、仏教において人間が持つとされる**「煩悩」の数**が108つあるから、という説です。
では、そもそも**「煩悩」**とは何でしょうか?
煩悩とは、私たちの心を惑わし、苦しませる精神的な迷いや欲望のことです。例えば、「もっとお金が欲しい」「あの人がうらやましい」「怒りがおさまらない」といった感情は、すべて煩悩に含まれます。
この煩悩を一つずつ鐘の音で清め、新しい年を清らかな心で迎えるために、除夜の鐘は108回鳴らされるのです。
108という数字はどこからきたの?
108という数字の由来には、実は複数の考え方があります。
煩悩の数
眼(げん)・耳(に)・鼻(び)・舌(ぜつ)・身(しん)・意(い)の六根
好(よい)・悪(わるい)・平(どちらでもない)の三毒
浄(きれい)・染(きたない)の二種
これらを組み合わせたものが、過去・現在・未来の三世にわたると考え、6×3×2×3=108とする説。
一年間を表す説
一年の月の数(12)
二十四節気(24)
七十二候(72)
これらをすべて足すと、12+24+72=108となり、一年の煩悩をすべて清める、という考え方。
四苦八苦説
仏教で説かれる「四苦八苦」という言葉に由来し、4×9+8×9=36+72=108とする説もあります。
どの説にも深い意味が込められており、煩悩を払い、清らかな気持ちで新年を迎えたいという人々の切なる願いが感じられます。
除夜の鐘はいつから始まった?意外な歴史
除夜の鐘の習慣は、中国の禅宗から伝わったとされています。日本では平安時代にはすでに、大晦日に鐘をつく風習があったようです。
しかし、現在のように全国的に広まったのは、意外にも新しい時代のことです。第二次世界大戦後、NHKラジオの除夜の鐘中継が始まったことが、その大きなきっかけとなりました。遠いお寺の鐘の音をラジオで聞くことで、多くの人が除夜の鐘を身近に感じるようになり、日本の年末に欠かせない行事として定着したのです。
知っておきたい!除夜の鐘の豆知識
鐘の表面にある「イボイボ」、実は108個?
お寺の鐘(梵鐘)の表面には、たくさんの小さな突起が付いています。これは「乳(ち)」と呼ばれ、実はこれにも108個あるものが多いそうです。音の響きを良くする役割があると言われています。
除夜の鐘は「108回以上」鳴らすお寺も
一般的には108回で終わりですが、中には109回以上鳴らすお寺もあります。これは、108回の鐘で煩悩を払い、最後に**「清らかな心で新年を迎える」**という願いを込めて、一回多く鳴らすためです。
除夜の鐘のつき方マナー
近年は、実際に鐘をつくことができるお寺も増えました。鐘をつく際は、新年を迎える1分前までに107回、そして年が変わる瞬間に最後の1回をつくのが正式な方法とされています。ただし、お寺によってルールが違うので、係の人の指示に従いましょう。
まとめ:除夜の鐘に込められた願いを胸に
除夜の鐘は、ただの年末のイベントではありません。それは、一年間の煩悩を払い、新しい自分として清らかな気持ちで新年を迎えるための大切な儀式なのです。
今年の年末は、鐘の音に耳を傾けながら、一年を振り返ってみてはいかがでしょうか。