在宅起訴とは?逮捕されない刑事手続きの流れと実刑の可能性

 

刑事事件のニュースなどで「在宅起訴」という言葉を耳にすることがあるけれど、具体的にどういうことか、逮捕とは何が違うのか、よく分からないという方も多いのではないでしょうか?

逮捕されずに刑事手続きが進む「在宅起訴」は、被疑者にとって精神的・身体的な負担が少ない選択肢に思えますが、だからといって安心はできません。在宅起訴されても、有罪になる可能性や、実刑判決を受ける可能性は十分にあります。

この記事では、「在宅起訴」について、その意味や逮捕・勾留との違い、刑事事件がどのように進むのか、そして実刑になる可能性について、わかりやすく解説します。もしもあなた自身や大切な人が事件に関わってしまったら…そんな時に冷静に対応できるよう、正しい知識を身につけておきましょう。

在宅起訴って何?逮捕・勾留との違い

まずは、「在宅起訴」がどのようなものなのか、一般的な逮捕や勾留を伴う刑事手続きとどう違うのかを理解しましょう。

「在宅起訴」は「逮捕・勾留なし」の起訴

在宅起訴とは、被疑者が身体拘束(逮捕や勾留)をされないまま、検察官によって起訴されることを指します。

通常、刑事事件で捜査が進むと、警察は被疑者を逮捕し、その後検察官が勾留請求を行うことで、最大20日間もの間、身体拘束が続くことがあります。しかし、在宅起訴の場合は、これらの身体拘束が行われません。被疑者は普段通りの生活を送りながら、必要に応じて警察や検察の呼び出しに応じて捜査に協力することになります。

逮捕・勾留との大きな違い

  • 身体拘束の有無:

    • 逮捕・勾留: 警察署の留置場や拘置所で身柄を拘束される。行動が大幅に制限され、会社や学校に行くこともできない。

    • 在宅起訴: 身柄を拘束されず、自宅で通常の生活を送りながら捜査に協力する。

  • 社会生活への影響:

    • 逮捕・勾留: 会社や学校を休むことになり、解雇や退学のリスクがある。社会生活への影響が大きい。

    • 在宅起訴: 基本的に会社や学校に行くことができ、社会生活への影響を最小限に抑えられる。

  • 精神的負担:

    • 逮捕・勾留: 自由が奪われ、家族や友人との連絡も制限されるため、精神的な負担が大きい。

    • 在宅起訴: 自宅で過ごせるため、身体的・精神的な負担は少ない。

このように、在宅起訴は被疑者にとって非常に大きなメリットがあると言えます。

なぜ在宅起訴になるの?判断基準とは

逮捕されずに在宅で捜査が進むのは、どのようなケースなのでしょうか。在宅起訴となる主な理由や判断基準を見ていきましょう。

1. 証拠隠滅や逃亡のおそれがない場合

逮捕・勾留の大きな目的は、証拠隠滅逃亡を防ぐことです。そのため、以下の場合は在宅捜査となる可能性が高まります。

  • 罪証隠滅のおそれがない: すでに証拠が十分に揃っている、あるいは証拠隠滅の可能性が低いと判断される場合。

  • 逃亡のおそれがない: 定まった住居があり、家族と同居しているなど、逃亡する可能性が低いと判断される場合。

2. 罪を認めていて反省の態度が見られる場合

被疑者が素直に罪を認め、反省の態度を示している場合も、在宅捜査となる可能性が高まります。捜査への協力的姿勢が評価されるためです。

3. 比較的軽微な犯罪の場合

窃盗、傷害、痴漢などの事件でも、被害が軽微であったり、示談が成立している場合などは、在宅捜査となることがあります。

4. 被害弁償や示談が成立している場合

被害者との間で示談が成立し、被害弁償が行われている場合は、在宅起訴となる可能性が非常に高まります。被害者の感情が事件処理に大きく影響するためです。

在宅起訴されたらどうなる?刑事手続きの流れ

在宅起訴された後の刑事手続きは、逮捕された場合と基本的には同じ流れで進みます。


1. 捜査(警察・検察)

  • 警察での捜査: 事件発覚後、警察が捜査を開始します。被疑者は警察署に呼び出され、取り調べを受けたり、実況見分に立ち会ったりします。

  • 検察への送致(書類送検): 警察での捜査が終わると、事件は検察官に引き継がれます(書類送検)。在宅事件の場合、身柄の移送は伴いません。

  • 検察での捜査: 検察官は、送致された事件をさらに詳しく捜査します。被疑者は検察庁に呼び出され、検察官から直接取り調べを受けることがあります。

2. 起訴・不起訴の判断

検察官は、捜査の結果に基づいて、被疑者を起訴するか不起訴にするかを判断します。

  • 起訴: 公開の法廷で刑事裁判にかけること。在宅起訴はここに該当します。

  • 不起訴: 刑事裁判を行わないこと。証拠不十分、情状、示談成立などの理由で不起訴となることがあります。不起訴になれば、事件は終了し、前科もつきません。

3. 刑事裁判

在宅起訴された場合、検察官から起訴状が送達され、裁判所から**公判期日呼出状(こうはんきじつよびだしじょう)**が届きます。指定された日時に裁判所に出廷し、公開の刑事裁判を受けることになります。

裁判では、検察官が起訴状を朗読し、証拠を提出します。弁護人も反論し、証人尋問などが行われます。最終的に、裁判官が有罪か無罪か、有罪の場合はどのような刑罰にするかを判断します。

4. 判決

裁判官の判決によって、刑罰が確定します。

  • 無罪: 罪に問われなかった場合。

  • 有罪:

    • 執行猶予: 刑の執行を一定期間猶予し、その期間中に罪を犯さなければ刑罰が免除されるもの。

    • 罰金: 一定の金額を国に納める刑罰。

    • 懲役・禁錮(実刑): 刑務所に収容される刑罰。

在宅起訴でも実刑になる可能性は?

「在宅」という言葉から「軽い」という印象を受けるかもしれませんが、在宅起訴されたからといって、実刑にならないとは限りません。

在宅起訴は、あくまで「身柄拘束を伴わない起訴」というだけであり、事件の重さや悪質性、反省の度合いなど、刑の重さを決める要素とは直接関係ありません。

実刑となる可能性のあるケース

  • 被害が重大な場合: 死亡事故や重度の傷害事件、多額の被害額を伴う詐欺事件など。

  • 悪質な犯行手口の場合: 計画性が高い、常習性があるなど、犯行が悪質な場合。

  • 示談が成立していない場合: 被害者との示談が成立しておらず、被害者の処罰感情が強い場合。

  • 前科がある場合: 過去に犯罪歴がある場合。

  • 反省の態度が見られない場合: 裁判での態度が不誠実であるなど、反省の態度が見られない場合。

これらの要素が複数重なる場合、在宅起訴されていても実刑判決となる可能性は十分にあります。

在宅起訴されたらどうすればいい?弁護士の役割

在宅起訴された場合でも、その後の刑事裁判で有利な結果を得るためには、適切な対応が不可欠です。

1. 弁護士に相談する

在宅起訴されたら、すぐに弁護士に相談しましょう。弁護士はあなたの権利を守り、最善の弁護活動を行います。

  • 取調べへのアドバイス: 警察や検察の取調べに対する適切な対応方法をアドバイスします。

  • 証拠の収集: あなたに有利な証拠を収集し、裁判で提出します。

  • 示談交渉: 被害者との示談交渉を進め、和解に努めます。示談成立は、刑の減軽や執行猶予に繋がる重要な要素です。

  • 裁判での弁護: 裁判では、あなたの状況や反省の態度、再犯防止策などを主張し、有利な判決を目指します。

  • 精神的サポート: 刑事事件に巻き込まれることは大きな精神的負担です。弁護士は法的なサポートだけでなく、精神的な支えにもなります。

2. 捜査に協力する

在宅捜査ではありますが、警察や検察からの呼び出しには誠実に応じ、捜査に協力的な姿勢を見せることが大切です。

3. 反省の態度を示す

自身の罪と向き合い、深く反省していることを具体的な行動で示しましょう。被害者への謝罪や、再犯防止のための具体的な計画を立てることも重要です。

まとめ

「在宅起訴」は、逮捕や勾留といった身体拘束を受けずに刑事手続きが進むため、社会生活への影響を最小限に抑えられるメリットがあります。しかし、だからといって「軽い」事件というわけではありません。在宅起訴された場合でも、裁判で有罪となり、実刑判決を受ける可能性は十分にあります。

もしも刑事事件に関わってしまったら、一人で抱え込まず、すぐに弁護士に相談することが最も重要です。弁護士は、あなたの状況に応じた最善の法的アドバイスとサポートを提供し、不利な状況を回避するために全力を尽くしてくれるでしょう。

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